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「石鹸」といっても、その種類、分類は様々。用途や形状も多様で、原料、製法でそれぞれ特徴の違う石鹸が出来上がります。この記事では、これらの違いを解説します。

石鹸の種類

まずは、石鹸の種類についてみていきましょう。

用途別

石鹸は、用途別に、

・化粧石鹸
・台所用石鹸
・洗濯用石鹸

のように、種類が分けられています。

・化粧石鹸

皮膚の洗浄を目的とした、洗顔、手洗い、浴用の石鹸をいいます。厚生労働省が定めた「薬機法(旧:薬事法)」という法律で規定されています。化粧石鹸と銘打って販売するためには、薬機法が定める、石鹸の品質や製造設備、包装など様々な厳しい基準に沿う必要があります。化粧石鹸は、原料すべての成分名を包装に記載することが義務付けられています。身体用の洗浄剤は「石鹸」と「合成洗剤」の区別が製品に記されていないので、自分の目で成分を確認して判断する必要があります。石鹸であれば「石ケン素地」、「カリ石ケン素地」と表記されています。石鹸成分以外に、グリセリンや植物性オイルなどを添加して保湿性を高めたものや、殺菌剤を配合した薬用石鹸、グリセリンや糖を多くして透明化した透明せっけんなどもあります。

・台所用石鹸、洗濯用石鹸

食器の洗浄や掃除、洗濯など家庭用の石鹸をいいます。化粧用以外の石鹸は全て、経済産業省が定めた「家庭用品品質表示法」という法律で石鹸を規定によって、「台所用」と「洗濯用」と分けて考えられています。家庭用の石鹸は、成分表示の品名の欄に「台所用石けん」、「洗濯用石けん」と表記されています。このような表記があれば、洗浄成分はすべて石鹸成分だということです。「○○用複合石けん」と表記されている商品もありますが、この場合は、洗浄成分に石鹸と合成界面活性剤の両方が使われています。

石鹸以外の成分としては、「炭酸塩」というものが含まれている商品が多くあります。これはアルカリ助剤という成分で、石鹸の働きを助ける役割があります。危険性はなく、特に洗濯用粉石鹸にはよく使われる成分です。洗濯液が汚れによって酸性に傾くのを防ぎ、洗浄力を保ちます。

薬機法と家庭用品品質表示法、いずれの許可も取らないものは、用途を限らない「石鹸」として販売されます。この場合は「雑貨」としての扱いになります。

形状別

石鹸は、使用するアルカリ成分によって、形状が変わります。

・固形石鹸
・粉末石鹸
・液体石鹸

脂肪酸ナトリウムで作られるものは固形・粉状で、浴用石鹸や洗濯石鹸などに使われます。脂肪酸カリウムで作られるものは液体・ジェル状で、ハンドソープや台所用液体石鹸などに使われます。

原料の違いによる種類

次に、原料の違いによっての種類をみていきましょう。

油脂の違い

石鹸は、原料の油脂によって仕上がりに違いがあります。単体の油脂で作られることはほとんどなく、何種類か組み合わせて使用されます。様々な油脂が石鹸に使用されますが、代表的なものをいくつかご紹介します。

・牛脂

古くから石鹸に使われてきた油脂です。脂肪酸の構成が人間の肌に近いため、肌当たりが優しいという特徴があります。マイルドな使い心地で、泡立ちはあまり良くありませんが、きめ細かい泡が立ちます。また、パルミチン酸、ステアリン酸が多く含まれ、皮脂汚れを良く落とし、溶けにくく型崩れしにくいので浴用に向いています。

・ヤシ油

ラウリン酸が多く、泡立ちが良く洗浄力の高い油脂です。低温でも溶けやすい特徴があります。そのため、洗顔に適した30℃くらいの水温では溶けにくい牛脂をベースとした石鹸に2~3割ブレンドされている場合が多く、昔ながらの石鹸にはこの配合比率の商品がたくさんあります。硬い仕上がりで、酸化しにくい性質を持ちます。

・オリーブ油

オレイン酸の含有量が多く、保湿効果に優れています。スクワレンやビタミンも含まれ、刺激性は少なく肌に潤いを与えます。泡立ちはあまり良くありませんが洗浄力が高く、水にも良く溶けます。

脂肪酸の違い

油脂はそれぞれ異なる脂肪酸組成をもち、脂肪酸の種類によって性質が変わります。

・ステアリン酸…ココアバター、シアバター、牛脂など

泡立ちは良くありませんが、高温での洗浄力に優れています。酸化しにくく、溶け崩れしにくい。

・パルミチン酸…パーム油、ミツロウ、牛脂など

泡立ちはあまり良くありませんが、持ちの良い泡ができます。酸化しにくく、溶け崩れしにくい。

・ミリスチン酸…ココナッツ油、ヤシ油、パーム核油など

きめ細かく長持ちする泡が立ちます。溶け崩れしにくく、持ちの良い石鹸が出来る。

・ラウリン酸…ココナッツ油、ヤシ油、パーム核油など

脂肪酸の中でも泡立ちに優れています。冷水にも溶けやすい石鹸になります。

・オレイン酸…オリーブ油、アボカド油など

肌に優しく、泡立ちは良くありませんがきめの細かい泡が立ちます。水に良く溶け、洗浄力の高い石鹸になります。

・リノール酸…グレープシード油、ローズヒップ油など

皮膚のバリア機能を助け、みずみずしく保つ働きをします。泡立ちが良くさっぱりとした使い心地。柔らかく溶け崩れしやすい。

石鹸の製法

分類や原料の種類がわかったこところで、実際に石鹸をつくる製法についてみていきましょう。

機械練り石鹸

すべての工程を機械で作る石鹸です。石鹸の材料を機械で一気に練り上げ、そのまま押し出して成型します。

・中和法

油脂を「脂肪酸」と「グリセリン」に分離させておき、脂肪酸だけをアルカリと反応させます。あらかじめ油脂に防腐剤や酸化防止剤といった化学添加物が添加されている場合もあります。しかし、キャリーオーバーにより成分表示されず、成分表示には「石ケン素地」とだけ表記されているケースが多くあります。油脂に含まれる不純物が取り除かれるため、純度の高い石鹸になります。ローコストで大量生産が可能、かつ洗浄力も高く、溶けにくく型崩れしにくい石鹸が出来るため、一般的に販売されている固形石鹸の多くはこの製法で作られています。

<デメリット>

デメリットとしては、グリセリンなどの保湿成分を含まないこと、純度が高い分肌への負担が大きくなる場合がある点です。また、原料の98%を石鹸素地とする必要があるため、他の成分を入れる余地がほとんど無く、商品特徴を出し辛いという面もあります。保湿成分や、毛穴やニキビなどのトラブル予防の美容成分などを添加することが難しいので、洗浄成分以外の機能を求めるニーズには対応出来なくなります。

枠練り石鹸

枠に流し入れて、時間をかけて自然乾燥させながら固める製造法です。天然の保湿成分グリセリンを残す場合が多く、洗った後のつっぱり感を感じにくくなります。添加物も機械練りに比べ少ないので、安心して使うことが出来ます。美容成分や香りなど、様々な個性を持った石鹸があり、好みのものを選ぶ楽しみがあります。人の手作業による工程を経るので、製造に時間と手間がかかり、大量生産できないためコストが高くなります。また、機械練りに比べ泡立ちが弱く、溶けやすく型崩れしやすい傾向があります。

・鹸化(けんか)法

油脂そのものをアルカリで加水分解する化学反応で、いくつかの方法があります。

<釜炊き鹸化法(ホットプロセス、バッチ法)>

石鹸の製造方法としては、伝統的な製造の方法です。釜に原料の油脂とアルカリ剤を入れて攪拌しながら加熱して、鹸化反応を起こします。

①鹸化塩析法

鹸化反応が終わった後に塩析し、不純物を取り除く方法です。純度の高い石鹸が出来ます。

②焚き込み法

鹸化反応が終わった後、石鹸成分以外の不純物を取り除く塩析をおこなわない方法です。そのため未反応の油脂などの不純物がそのまま残るため、石鹸の純度は高くありません。その分、保湿成分グリセリンがそのまま残せるので、しっとりとした使い心地になります。

<鹸化(けんか)法のデメリット>

デメリットとしては、不純物が原因で変質が早まることがあります。

・冷製法(コールドプロセス)

冷製法は加熱をおこなわない製法になります。油脂に苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を加えて攪拌し、加熱せず、化学反応の際に出る熱だけで鹸化する方法です。加熱しないので、手作り石鹸ではこの方法が用いられます。焚き込み法と同様に塩析しないので、保湿成分グリセリンや不純物がそのまま残ります。あえて適度な油脂が残る「過脂肪石鹸」に仕上げる場合もあります。洗浄力が強すぎず、しっとりとした洗い上りの石鹸になります。

<冷製法(コールドプロセス)のデメリット>

デメリットとしては、やはり不純物が多い分、変質しやすい点です。

まとめ石鹸の種類と製法の違いについて

石鹸の種類や油脂の特徴、製法の違いなどについてお分かりいただけたでしょうか。

一口に「石鹸」と言っても、その特徴は様々です。

それぞれの性質を理解しておくことで、自分好みの石鹸を選び、自分で作ることが出来るようになります。是非覚えて、生活楽しみとして取り入れてみてください。

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