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私たちの身近にある石鹸ですが、どんな性質を持つものなのでしょうか。石鹸は化学的には「脂肪酸をアルカリで反応させた化学物質」で、リトマス試験紙でチェックすればアルカリ性を示します。この性質がどのように洗浄力や肌へ影響を与えるのか、解説します。

PHとは?

ph(ピーエッチ)とは、水溶液の性質の違いを数値で表したものです。

酸性・中性・アルカリ性の3つ

水溶液は、酸性、中世、アルカリ性の3種類の性質に分けられます。酢や果汁などすっぱい味のするものは酸性、コーヒーなど苦い味のするものはアルカリ性です。すっぱい、苦いといった特徴の無い水は中性です。

酸性・アルカリ性の度合い(強さ)を表すのがPH値

phは、酸性からアルカリ性まで14段階の目盛りをつけて、性質の度合いを数値で示します。

PH7が基準となる「中性」

ph7を基準の中性として、それ未満が酸性、それ以上がアルカリ性となります。ph7より数値が小さいほど酸度が高く、大きいほどアルカリ度が高いということです。台所、洗濯、住居用の洗剤の成分表示には「液性」という項目があり、家庭用品品質表示法で定めた基準に沿って、次のようなph値別の液性が表記されています。

・ph3.0未満…酸性
・ph3.0以上 6.0未満…弱酸性
・ph6.0以上 8.0未満…中性
・ph8.0以上 11.0未満…弱アルカリ性
・ph11.0を超えるもの…アルカリ性

石鹸のPH

石鹸として作られたものはアルカリ性

石鹸はすべてph9~11程度の弱アルカリ性です。石鹸は動植物の油脂をアルカリで煮て科学的に反応させたものです。このアルカリ成分は「石けん素地」と成分表示に表記され、脂肪酸ナトリウムもしくは脂肪酸カリウムが使用されます。脂肪酸ナトリウムの場合は固形または粉状、脂肪酸カリウムの場合は液体・ジェル状の石鹸になります。これらは、弱酸性の脂肪酸と強アルカリ性の物質でできた化合物です。

苛性ソーダや苛性カリは強アルカリ

脂肪酸ナトリウムは苛性ソーダ(水酸化ナトリウム NaOH)が、脂肪酸カリウムは苛性カリ(水酸化カリウム KOH)が脂肪酸と反応したものです。強アルカリの物質が弱酸の影響で少しだけ酸性側に傾くので、石鹸は弱アルカリ性の性質を持つのです。

強いアルカリの苛性ソーダと苛性カリは、タンパク質を溶かす性質があります。石鹸を手作りする際には、肌に触れないよう十分に注意が必要です。

弱酸性ソープは石鹸ではない

市販の商品で「弱酸性」の洗浄剤が販売されていますが、これは「石鹸」ではなく合成洗剤です。

肌を洗う目的の商品は、「ボディソープ」や「洗顔料」といった名称がつけられています。洗浄成分には合成界面活性剤が使われ、石鹸とは全く違う製造方法で作られています。

石油原料が主で、化学合成を繰り返し、高温・高圧などの複雑な工程を経て製造されます。

石鹸の泡はきめ細かく豊かな泡立ちで、泡切れがよく流しやすいのが特徴です。合成界面活性剤を使った洗浄剤は軽やかな泡立ちですが、洗浄効果が持続しやすいので流しにくく、肌に洗浄成分が残ってしまうことがあります。

アルカリ性の石鹸が肌に与える影響

アルカリ性の石鹸が肌に与える影響

肌表面のphは、安定した状態では4.5~6.0の弱酸性です。汗と皮脂が混ざり合った皮脂膜が天然のクリームのような働きをし、肌を弱酸性に保ちます。ところが、油分が不足した敏感肌や乾燥肌の場合は、アルカリ性に傾きがち。皮脂膜はバリア機能を持ち、肌の水分蒸発を防ぐ働きをしています。

肌のバリア機能とは、肌表面の角質層が水分を蓄え、乾燥や外部の刺激から肌をカバーし、肌へダメージを与えないようにする機能のことです。

角質細胞内にある「天然保湿因子(NMF)」が水分を保持し、角層細胞同士をつなぐ「細胞間脂質」が隙間を埋めて肌の水分を留め、「皮脂膜」が肌の表面の膜となり水分の蒸発を防いでいるのです。

天然保湿因子の5割はアミノ酸です。そしてそのアミノ酸が角質層の中でしっかりと残ることができるのは、弱酸性の肌です。

肌は安定した状態では弱酸性

また、肌表面は弱酸性だと常在菌のバランスも整います。常在菌バランスが安定しているときは、皮膚への病原菌の侵入をブロックし、皮膚のバリア機能を保ち外部刺激から肌を守ってくれます。

この常在菌のバランスが崩れると、肌の抵抗力が弱まり、通常時は害のない菌が炎症などのトラブルの原因になるのです。肌を弱酸性に保つことは、健やかな肌の条件といえます。とすれば、肌と同じ弱酸性の洗浄剤のほうが、弱アルカリ性の石鹸よりも肌に優しいような気がしますね。しかし、肌に与える影響については、洗浄剤の酸性・アルカリ性の性質だけで良し悪しを決めることはできません。弱酸性ソープも弱アルカリ性の石鹸も、原料の配合や添加する保湿剤などによって、洗浄力や洗い心地は変化するものだからです。

石鹸の汚れを落とす仕組み

皮脂汚れや汗、角質は一般的に酸性です。これらをしっかりと短時間で落とす効果は、弱アルカリ性の石鹸のほうが高くなります。肌の表面に溜まる古い角質は、アルカリで柔らかくなり、肌から剥がれ落ちます。

これは、温泉に入ると肌がつるつるになるのと同じ原理です。日本の温泉はアルカリの泉質が多いので、石鹸と同じように古い角質を除去する効果が期待できるのです。

弱酸性ソープの場合、弱酸性でも皮脂汚れを落とすために、脱脂力の強い洗浄剤が配合されている場合があります。低刺激の商品や、保湿成分がしっかり配合された商品を選ぶなど、肌への負担を減らす工夫が必要です。

また、アルカリ性の石鹸は、酸性の物質に触れると中和されて洗浄力が弱まります。肌表面の汚れは主に酸性なので、洗浄力を程よく抑え、洗いすぎを防ぎます。一方、合成洗剤の弱酸性ソープは、酸性の物質でも洗浄力を失わないよう調整されているので、洗いすぎて肌に負担がかかる可能性があります。

石鹸で洗った後の肌変化とお手入れ方法

弱アルカリ性の石鹸で洗った後、肌の表面はアルカリ性に傾きます。健康な肌であれば、アルカリを中和させる力があるので、一定時間が経過すると、自然にもとの弱酸性に戻っていきます。

しかし、水仕事が多く洗剤を頻繁に使う場合や、湿疹、アトピー性皮膚炎など炎症症状がある場合などは、肌のアルカリを中和させる力が弱ってしまい、酸性に戻るのに時間がかかります。

・酸性に戻る時に通過するPH6~8前後(弱アルカリ性)で雑菌が繁殖しやすい

アルカリ性に傾いた肌の表面では、もとの弱酸性に戻そうと常在菌の働きが活発になります。常在菌がしっかり働くことで、肌の自然治癒力が高まり、肌荒れしにくい状態に導きます。また、洗浄後に肌が酸性に戻る際、弱アルカリ性のph6~8を通過します。このphは、アクネ菌や黄色ブドウ球菌などの雑菌が繁殖しやすい環境なので、速やかに通過させることが肌を清潔に保つために大切です。酸性のケア用品を使い、早めに肌を酸性に戻しましょう。さっぱりしたタイプの化粧水やニキビ肌用の化粧水は、ph5~6程度の酸性です。

・洗浄後に酸性のケア用品でお手入れするなどして、早く酸性に戻すほうがよい

洗浄して皮脂汚れや保湿成分を落とした肌に化粧水を塗ると、肌本来のphに戻るよう即効的に働きかけます。化粧水には、保湿だけではなくこのような効果もあるので、健やかな肌を保つために早めのケアを心掛けましょう。

まとめ気になる!石鹸のPHと肌への影響についてわかりやすく解説

弱アルカリ性の石鹸の性質についてお分かりいただけたでしょうか。普段の生活で洗浄剤のphを意識することはあまりないかもしれません。

洗浄剤が肌に与える影響を理解しておくことで、適切なケアが出来、肌の健康を守ることにつながります。ぜひ、日常生活に上手に石鹸を取り入れてみてください。

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