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私たちが快適な生活を送るためには、「洗う」という行為が必要不可欠です。身体や衣類、食器などを洗ってきれいにするために欠かせない石鹸ですが、そもそも石鹸とはどのようなものなのでしょうか?

この記事では、石鹸の歴史や、汚れを落とす仕組み、合成洗剤との違いについてなど、解説します。

石鹸と界面活性剤

実は石鹸も界面活性剤の一種なのです。

界面活性剤=悪いものというイメージ

界面活性剤と聞くと、「環境や肌に悪いもの」というイメージをもつ方も多いかもしれません。私たちが石鹸で落としたいと思う汚れは、ほとんどが油汚れです。水と油は混ざり合わないため、水だけでは油汚れを落とすことは出来ません。

無添加石けんにも界面活性剤が含まれる

界面活性剤は、水と油どちらとも馴染む性質を持ち、本来反発し合う両者を混ざり合わせる役割を果たします。体や髪の皮脂汚れを落とすことが出来るのは、この石鹸の界面活性剤の効果によるものなのです。「無添加」と名のつく石鹸にも、界面活性剤は含まれています。

界面活性剤の歴史で一番古いのが石けん

石鹸の歴史は古く、そのはじまりは紀元前3000年頃に遡ります。古代ローマ時代、サポーの丘という場所で羊肉を焼いて神に供える風習がありました。肉からしたたり落ちた脂と木の灰が混ざり反応した土が、汚れをよく落とすとして珍重されたようです。これが石鹸の起源とされ、英語で石鹸を意味するソープ(soap)は、この丘の名前が由来といわれています。

洗う道具としての石鹸が作られたのは、紀元前1世紀から紀元後1世紀といわれます。この時代にローマで活躍した学者、大プリニウスの著書に、「山羊の脂肪とブナの木炭からサーポ(sapo)を作る」との記述が残っています。この原料から、当時の石鹸はとてもにおいの強いものだったと想像できます。

8世紀頃入ると、石鹸づくりは産業として確立されます。その頃ヨーロッパでは、医学の進歩により、病気の原因のひとつが細菌汚染であることが解明され、その対策として身体を清潔に保つために入浴が推奨されました。それに伴い、フランス、スペインなど地中海沿岸地方で石鹸が大規模に生産されるようになります。主な原料はブナ灰や海草灰、オリーブ油などで、現在の石鹸に近いものです。石鹸職人たちは、より良い香り、洗い心地を追求し、様々な石鹸を生み出しました。

こうして地中海沿岸地方で製造された石鹸は、ヨーロッパ全土へ普及していきます。16世紀後半には、スペインやポルトガルを通じて日本にも伝来し、特権階級の人々の間で使用された記録が残っています。日本で工業化が進んだのは、明治時代に入ってからのことです。

界面活性剤とは?

「界面」とは表面という意味です。水と油は混ざり合うことなくくっきりと分かれますが、この境目が界面です。

「親水性」と「親油性」を併せ持つ

界面活性剤は、水になじみやすい「親水性」と、油になじみやすい「親油性」の両方の性質を持ちます。

本来溶け合わない水と油を溶け合わせる

界面に作用して性質を変化させ、本来なじまない水と油を混ぜ合わせることで、汚れを落とす働きをするのです。

その働きを利用して油分を含んだ汚れを落とせる

界面活性剤には、浸透・乳化・分散・再付着防止の作用があり、これらが総合的に働いて汚れを落とします。親油性を持った部分が皮脂など油分を含んだ汚れに吸い付き、汚れを引きはがします。水の中では親水性を持った部分が水となじんで混ざり合い、汚れを細かい粒にして水の中に散らします。界面活性剤の分子が汚れを取り囲んでいるので、汚れは再付着することなく、水と一緒に流すことが出来ます。これが、界面活性剤が汚れを落とす仕組みです。

汚れ落としのほかに乳化、分散、帯電防止、殺菌など色々な用途

他にも、静電気を抑制する帯電防止作用や、殺菌作用などもあり、界面活性剤には多様な用途があります。

乳液やクリーム、食品に使用される乳化剤にも含まれる

また、大豆レシチンや卵黄レシチンなど天然の界面活性剤も存在し、食品の乳化剤として使われています。マヨネーズの原料の卵と油が均一に混ざるのは、卵黄レシチンの作用によるものです。

デメリットとして肌や髪への負担や乾燥がある

界面活性剤は、私たちの生活に無くてはならないものといえます。しかしながら、使いすぎたり、敏感肌の人にとっては、肌や髪へは感想などのダメージを与えるといったデメリットもあります。

石鹸と合成洗剤の違い

石鹸と合成洗剤、この2つはどちらも界面活性剤です。しかし、原料や製法、成分は全く異なります。

どちらも界面活性剤、合成であるかの違い

家庭用品品質表示法では、両者の違いが定義づけされています。人によって作られた界面活性剤は「石けん」と「石けんでないもの」に分けられます。このうち、「石けんでないもの」に分けられたものを合成界面活性剤としています。汚れを落とすもの全般を「洗剤」といいますが、洗浄成分として合成界面活性剤を使っている洗剤を合成洗剤といいます。

石鹸とは

石鹸は、手作りすることが出来る洗浄剤です。

・動植物の油脂をアルカリで煮て作られる

化学的には「脂肪酸のアルカリ塩」を指し、動植物の油脂をアルカリで煮て科学的に反応させたものです。このアルカリの種類によって形状が変わり、アルカリ成分は成分表示で「石けん素地」と記載されます。脂肪酸ナトリウムで作られるものは固形・粉状で、浴用石鹸や洗濯石鹸などに使われます。脂肪酸カリウムで作られるものは液体・ジェル状で、ハンドソープや台所用液体石鹸などに使われます。

・石鹸のメリット

石鹸は、肌にも環境にも優しい点がメリットです。石鹸のなかで濃度が濃いうちは界面活性が働きまずが、濃度が薄くなるにつれて働きを失います。そのため、すすぎやすく肌への負担が少なくなります。また、河川に排出後はほとんどが水と炭酸ガスに分解され、石鹸カスは微生物のエサとなるため環境への影響も少ない点が優れています。このことからも石鹸は安全ということがわかりますね。

・石鹸のデメリット

デメリットは、洗濯に粉石鹸を使用する場合は事前に溶かす必要があったり、シャンプーは髪がキシキシしたりと、使い方にコツが必要なところです。石鹸の特徴を知って、上手に使うことで解決できます。

合成洗剤とは

合成洗剤は、洗浄成分に合成界面活性剤を使っている洗剤で、手作りすることは出来ません。

・主に石油成分から作られる

主に石油原料を使って化学合成を繰り返し、高温・高圧などの複雑な工程を経て製造されます。石鹸と同じように、固形や粉、液体のものがあります。

・合成洗剤のメリット

合成洗剤のメリットは、使用方法が簡単で用途別にたくさんの種類の商品があることです。

・合成洗剤のデメリット

また、洗浄効果が持続しやすいのですが、その反面すすぎにくく、肌や食器などに残ってしまう場合がある点がデメリットとなります。

排水後に自然分解されにくいため微生物に悪影響

石鹸に比べて構造が複雑なため、排水後分解されにくく、環境へ悪影響を及ぼす可能性も高くなります。

石鹸と合成洗剤の見分け方

石鹸と合成洗剤、どちらの商品なのかは成分表示を確認すれば見分けることが出来ます。洗濯用や台所用の製品には、品名に「○○用石けん」、「○○用合成洗剤」という表記があります。

合成洗剤:「石けん」という文字が含まれない、界面活性剤〇〇%

成分表示にはそれぞれの組成が表記してあり、合成洗剤の場合は「界面活性剤(○○%直鎖ヒドロキシアルカンスルホン酸塩…)」などと記しています。

また、シャンプーやボディソープ、ハンドソープなどの化粧品系の商品の成分表記は、合成洗剤の場合は「ラウレス硫酸Na」、「ラウリン酸K」等と表記されています。

せっけん:石けん素地、カリ石ケン素地、純石けん分〇〇%

石鹸の場合は「純石けん分(○○%脂肪酸ナトリウム…)」と表記されています。シャンプーやボディソープ、ハンドソープなど「石けん」の表記がない場合には、石鹸は「石ケン素地」や「カリ石ケン素地」、などと表記されています。

まとめ知っておきたい!石鹸の界面活性剤と合成洗剤との違いを解説!のまとめ

普段何気なく使っている石鹸ですが、人々の知恵と技術のもとに作られた、優れたものだということがお分かりいただけたでしょうか。石鹸も合成洗剤も、それぞれメリットとデメリットがありますから、生活シーンによって使い分けて、快適な暮らしに役立てていきましょう。

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