間接照明というとシャレたお店やホテルの照明で、普通の部屋には無関係なんて思っていますか。
間接照明とは直接照明の対義語であって、オシャレな空間だけに向く特別な照明ではありません。
日本では平安時代に障子ができて、薄い障子を通して外の光がさんさんと入ってくる文化が背景にあるので、部屋全体を明るくする直接照明を好むともいわれています。
そういうこともあって、間接照明の光に独特な雰囲気を感じることが多いのかもしれませんね。
ただ、間接照明だけでは暗くて生活するには不便です。
理想は直接照明と間接照明の両方を使った半間接照明で、これならいくらでも部屋の空間づくりに利用できます。
雰囲気のある空間づくりに欠かせない間接照明について、いろいろご紹介します。
間接照明は、天井や壁を照らすことで反射を利用してする照明のことです。テレビやソファー、ベッドなどの後ろに照明を設置して、反射を利用して部屋を照らすようなやり方が多いです。
間接照明は作業面を照らす部分照明、局所照明ではなく、あくまでも部屋全体を照らす全体照明になります。直接照明とは違った方式で、部屋全体を照らす全体照明です。
日本人には障子の文化の影響や黒目の特徴で、光の強さにも耐えられる特性があります。
・欧米人は日本人に比べて瞳の色が薄いため、光に敏感
欧米人は日本人と比べると瞳の色が薄いため光に敏感で、明るすぎる光に対して弱い面をもっています。
・日本人が欧米に行くと暗くて違和感を感じることも
日本人が欧米に行くと暗くて違和感を感じることもあります。逆に、欧米人が日本に来て、明るすぎる照明に戸惑うこともあるようです。
・「部屋を明るくするための道具」ではなくインテリアの一部と捉えられている
また、欧米では照明に対しても「部屋を明るくするための道具」ではなく、インテリアの一部と捉えられていて、その点からも日本とは違います。
目線が自然に上に向かうので天井が高く感じられて、部屋のグレードが上がります。天井を2段にして間に光源を入れ込むので、新築やリフォームの時に造るのが一般的です。
壁を照らすことで部屋の明るさが増します。壁に取り付けたアートや棚を魅力的に見せることもできます。
棚と壁の間に光源を入れることで天井と壁の両方を照らすことができます。こういうやり方は、新築時やリフォームの時だけでなく後からでも造ることができます。
まず、間接照明で部屋の雰囲気づくりができて、おしゃれな印象や、あたたかな印象のある空間づくりができます。
・リラックス効果、入眠効果、癒し効果
直接照明と違って穏やかな光になるので、リラックス効果や入眠効果、癒やし効果も期待できます。
・開放感を高め、盛り上げる効果
天井を照らすことで開放感を高め、雰囲気を盛り上げる効果も生まれます。
・アートや家具などの存在感を出すアクセント効果(視線コントロール)
スポット効果で見せたくないところは暗くなるので、照らされるアートや家具などの存在感を出すアクセント効果もあります。これは、視線が自然に見せたいところに向かう視線コントロールの効果です。
・部屋が広く見える
部屋が広く見えるのもひとつの効果です。間接照明で空間に陰影が生まれて立体的になって、奥行きが生まれて部屋が広く感じられます。
メリットはたくさんありますが、間接照明のデメリットはひとつです。
・読書や作業をするには光量が足りない。
生活するには圧倒的に光量が足りません。部屋づくりに間接照明を利用する時は、直接照明で部屋全体の明るさをキープしたうえで間接照明を併用することがいいですね。その時は、直接照明の照度を下げると間接照明とのバランスがよくなります。
・やや暗めの光が適している
明るさとしては、やや暗めの光が適しています。照度が高いと場合によっては暑苦しく感じることもあります。ただ、照らす壁面の色が暗いと効果も低くなるので、壁面の色の明るさに応じて光の調整をすることも必要です。
・直接照明と間接照明のバランスをとる
直接照明と間接照明を併用する時は、両方のバランスをとると快適になります。併用するので、直接照明の照度を落としても部屋の明るさはキープできます。
・間接照明に適した電球色にする(昼光色)
間接照明に適した色は、あたたかい雰囲気にしたいなら電球色にします。昼光色ははっきりみえる色で覚醒させる効果がある色です。穏やかでリラックス効果が得られる間接照明向きではありません。
・間接照明なら必ずおしゃれに見えるわけではない
光源はもちろん、エアコンや電気のコードが見えては雰囲気が台無しになります。観葉植物やアートが照らされるようにすると、オシャレ度が上がります。間接照明なら必ずおしゃれにみえるわけではないので注意してください。
間接照明を使うことで空間が引き立ちますが、取り入れ方を間違えると雰囲気が壊れることもあります。注意する点をまとめてみました。
ある方向からは見えなくても、方向を変えることで丸見えになることもあります。設置場所や光源の納め方には注意しましょう。
光源の角度と光源を隠す部分の幅によって反射の度合いが変化するので、調整が必要になってきます。電球形のライトを間接照明に使うと、光の強さがまばらになるので避けます。
間接照明用のライトとしては、シャンデリアタイプ、ペンダントライト、ブラケットライト、スポットライト、スタンドライトが向きます。キャンドルのように細長い形状のトーチ型は人気です。
間接照明だけだと暗いこともあって、日常生活には直接照明との併用が理想と考えられています。
最近は、間接照明でもLEDを使用すると、かなり光量が調整できて明るくなる場合もあります。そういうものも上手に使いながら、間接照明を楽しむのもいいでしょう。
天井や壁を照らすのが間接照明ですから、天井や壁の色がダークトーンだとうまく反射しないこともあります。
天井面は白い色や、それに近い明るい色が向きます。反射しやすいことがポイントです。光沢のある素材や鏡面仕上げのテカテカした天井や壁も、光源が映り込むことがあるので気をつけます。
トイレのような、天井の高さに対して狭い空間では照明の効率が下がります。また、天井が低すぎるのも照らす範囲が狭くなって照明の効率が下がります。
間接照明ひとつをとっても、特徴から種類、効果、コツや注意点までたくさんお伝えすることがありました。
でも、照明全体からみれば、間接照明はひとつの照明方式に過ぎません。まだまだ照明については知らなくてはいけないことがたくさんあります。
空間デザイナーをめざす方は、当然、空間づくりには欠かせない照明についても知識をもっていないとできません。
でも、最初は、照明の知識をひたすら覚えるよりも、間接照明を工夫して雰囲気のある空間づくりを楽しみながら始めてみましょう。
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